
うつ病とは
うつ病は、現代社会で非常に多くの方が悩まれているこころの病気です。
強いストレスや生活環境の変化、人間関係の悩みなどがきっかけで、気分の落ち込みや不安感、眠れない、何もやる気が起きない…といった症状が続く状態です。
西洋医学では主に薬物療法やカウンセリングが中心ですが、鍼灸(しんきゅう)治療も、うつ病の改善をサポートする方法として注目されています。
今回は、鍼灸師の立場から、うつ病と鍼灸の関係についてお話しします。
鍼灸で「こころ」を整えるとは?
鍼灸というと、「肩こり」や「腰痛」に効くイメージを持たれている方が多いかもしれません。
でも実は、鍼灸はこころの不調にもやさしく寄り添うことができるんです。
どんな症状に鍼灸が合うの?
うつの症状は人によってさまざまですが、こんな状態が続いていたら注意信号です。
- 夜なかなか眠れない、眠りが浅い、途中で起きてしまう
- 体がだるい、何をするのもおっくう
- 食欲がない、または食べすぎてしまう
- 胃が痛んだり、おなかの調子が悪い
- 頭が重い、ボーっとする
- 肩や首がこっている
- 不安になりやすい
- 涙もろくなった
こうした不調に対して、鍼灸でアプローチすることができます。
鍼灸を受ける際に、なにか話さなくてはいけないと思っていませんか?
こころが疲れていると、人と話すこと自体しんどいですよね。
もちろん無理に話そうとされなくて大丈夫です。
お体の状態をしっかり見ながら、その方に合った方法で施術を行っていきます。
実際の施術はどんな感じ?
うつ病やこころの疲れを抱えた方は、感覚が過敏になっていることがあります。
なので、まずはやさしく穏やかな刺激を心がけながら行います。たとえば、
- 頭や手首を刺激で緊張をゆるめる
- 耳や背中、足を刺激し自律神経を整える
- あたたかいお灸で、じんわりと安心感を感じてもらう などなど
早い方ですとすぐに、「なんとなく気持ちがスーッとした」「ゆっくり眠れるようになった」という声をいただくことも多いです。
鍼灸を受けるときのポイント
こころの不調は目に見えないぶん、無理をしやすいものです。
鍼灸は、薬だけでは補いきれない「自然な回復力」を引き出すお手伝いをします。
ただし、すでに病院に通っていたり、お薬を服用中の場合は、必ず主治医の先生と相談のうえで鍼灸を取り入れることをおすすめします。
うつ病やこころの疲れは、「気合い」や「がんばり」ではどうにもできないこともあります。
鍼灸は、こころとからだの両方にやさしく働きかける、東洋医学の知恵です。
もし今、「つらいな」「なんとかしたいな」と思っている方がいたら、鍼灸を思い出してもらえたら嬉しいです。
あなたの毎日が、少しずつでも穏やかに戻っていきますように。
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