鍼灸師だいずの豆ちしき

鍼灸にまつわる徒然blog

末端冷え性の原因は意外なところから…

冷え性はつらいですよね。
実は僕もかなりの末端冷え性ですが、自覚したのは20代後半頃からでしょうか。
きっかけはスキーのリフトであまりに冷えて、辛くて辛くて…
それ以来、冷え性との長~いお付き合いが始まりました。
お風呂でしっかりあたたまっても、布団に入る頃にはいつの間にか末端が冷えて、布団の中で足がジンジンしてなかなか眠れなかったのを覚えています。

今では本格的な冬が訪れると、湯たんぽは必須です。
最近はペットボトルにお湯を入れた即席湯たんぽを足元に入れて寝ています。

日中でも足が冷えるので、足首まで覆えるルームシューズを履いています。冷え性のイメージ

それにしても、なぜ手足は冷えるのでしょうか?
原因の一つに、血流の悪さがあります。
体温を末端まで運んでくれるのはあたたかい血液ですが、冷え性はこの血液がスムーズに末端まで届いてくれません。

「では、血流を良くするにはやっぱり運動ですか?」と聞かれることが多いのですが、
運動だけでシンプルに改善できれば、それはとてもシンプルですし、ラッキーです。

でも実は、継続的に運動をしているのにもかかわらず、冷えが改善しない患者さんの割合は意外に多いんですね。
ちなみに僕もそのタイプで、ウォーキングや筋トレ、階段をひたすら登るなど、がんばって体を動かしています。
動いた直後はあたたかくなりますが、末端は冷えたまま…

 

こういう場合に原因として疑われるのは、おなじみの自律神経です。

自律神経が冷えに関係していることはご存じでしょうか?

自律神経がつかさどる神経には、「交感神経」と「副交感神経」があります。
この2つはよく「アクセル」と「ブレーキ」に例えられます。

活発な時に優位になる交感神経「=アクセル」と、リラックスする時に優位になる副交感神経「=ブレーキ」です。

アクセルを踏んでいる時は、血管がギュッと収縮し、血圧が上がります。
逆に、ブレーキを踏んでいる時は血管が広がるので、血圧は下がります。
この2つの動き、イメージできたでしょうか?

 

では、ストレスや緊張した状態の時はどちらが優位になるでしょうか?
答えは「交感神経が優位」、つまりアクセルを踏んでいる状態です。

ストレスや緊張状態にずっとさらされていると、アクセルも踏みっぱなしの状態となります。
血管がギュッと収縮した状態が続いてしまうため、血液の流れも悪くなります。
当然、末端にスムーズに行きわたらず、血行不良になってしまいます。

緊張している時に手足が冷える経験をされたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

末端冷え性のイメージ

また、先端まで血液を運んでくれる「毛細血管」も大変重要です。
毛細血管は、網目状となってつながっている細~い血管のことです。
皮膚の上から見えている血管とは違って、毛細血管の直径は約8~20μm(マイクロメートル)程度といわれています。
なかなかピンとこない数字ですが、一般的に「赤血球がやっと通れるくらいの細さ」などと表現されます。
細胞がやっと通れる細さ…どれだけ細いか想像がつきますでしょうか?
最近の研究では、ただでさえ細い毛細血管が加齢によって減少していくという研究結果も確認されているそうです。

 

少し長くなりましたが、このように、色んな理由が絡み合う「冷え」に対しても、鍼灸治療は有効です。
鍼やお灸によって緊張やコリがほぐされることで心身もリラックスし、副交感神経「=ブレーキ」が優位になることで血流の改善が期待できます。

色々な方法で温めても冷え性が改善されずにお困りの方は、原因が自律神経にあるかもしれません。

そんな方には一度、鍼灸によるアプローチも試してみていただきたいです。

冷えに悩んでいる方へ、少しでも参考になったらうれしいです。